上品で礼儀正しい理想の旅行客を思い浮かべる時、多くの人は中国人の団体旅行客を想像しないだろう。近頃中国人観光客に対する下品、無礼、強引といった偏見が浸透しており、中国人は洗練された西欧文化に対する知識が皆無であるというレッテルが貼られている。多くの偏見の中には、いくつか当てはまるものもあるだろう。しかしストックホルムで起きたこの一ヶ月の出来事は、中国人観光客や中国人にとっては許しがたい屈辱であった。今月初旬、中国人一家がストックホルムにあるジェネレーターホステル(Generator Hostel)に予定よりも早く到着した際、ホテルのスタッフは曾さん(Zeng)と彼の高齢の両親に、両親が病気であることを伝えられても尚、(満室でチェックインできないことと)、チェックインが始まるまで一晩ロビーで寝泊まりすることはできないことを伝えた。そしてスタッフから通報を受けたスウェーデン警察は一家をホテルから連行し、南ストックホルムの墓地の脇にある教会の前で車から降ろした。これは一家や警察だけの責任ではない。まず、中国人一家はホテルから立ち退くことを拒否した点で間違っていた。よって彼らは不法侵入で警察に強制退去させられた。しかし食べ物、地図、市内へ戻る手段を与えずに彼らを墓地の脇にある教会の前に真夜中に置き去りにした警察の行動は、まったくのやり過ぎだった。数日後、社会風刺で知られるニュースコメディショー「スウェーデン・ニュース」(Svenska Nyheter)はこの出来事に関する人種差別的な芝居を放映した。この番組の司会であるジェスパー・ロンダル氏(Jesper Ronndahl)は「スウェーデン人は人種差別を嫌う、、、もちろん中国人とロシア人を除いてね。」と始め、「世界にあるどの平和運動もスウェーデン人のロシア人に対する嫌悪感を取り除くことはできないだろう。その理由は恐らく、ロシアの大半がアジアにあるからだろう。彼らは中国人も同然だ。」と発言し、番組では中国人観光客に対する説明会風の芝居があり、「歴史的建造物の前で用は足しません。そして誰かが犬を散歩しているのを見ても、それは昼食を買ったという意味ではありません。」という発言が含まれていた。後日スウェーデン・ニュースはその動画を中国の動画配信サイト、ヨウク(Youku=优酷网)に配信した。ロンダル氏が礼を欠いた言動をしたとして、この出来事は(中国とスウェーデンの)国家間の諍いへと発展した。(9月24日の)月曜日、中国の耿爽(Geng Shuang)報道官はこの番組を「中国と中国人に対する侮辱と攻撃」として番組とテレビ局を強く非難、ロンダル氏とスウェーデン・ニュースとスェーデン大使館に対し、すぐに対策を講じるよう正式に要求した。それに対してロンダル氏は謝罪を拒否。(一連の出来事について)不法行為という認識は無く、これは自分と番組に対する無意味な攻撃であるとした。ロンダル氏は直接中国人観光客に対してだけではなく、中国人全体への人種差別攻撃を行い、中国文化についても露骨に批判した(とされた)。中国人観光客への偏見は必ずしも間違いではない。多くの中国人観光客は海外旅行中に無作法、非常識、無礼であるという悪評がある。しかし世界中の他の観光客もそうである。そして偏見を理由に、文化や国家全体に人種差別攻撃を与えていいという権利はない。中国とスウェーデンの関係が弱体化し続ける中で、(スウェーデンの)中国人観光客や中国人への対応が国際的にも注目を集めている。確かに中国人観光客は完璧ではないが、今回のように誰かが偏見によって人種差別を正当化した時には、適切に対応する必要がある。